日本初の木材屑の堆肥化を成功させた、その歴史と想い
木材屑の堆肥化は今では一般的になりましたが実は日本で初めて成功したのが弊社の島本バイム研究農場になります。
それ以前では木材屑は堆肥にも肥料にもならないという事が農業界では当たり前でした。
堆肥といえばワラ、籾殻、落葉等を使ったもので、木材屑は畑にそのまま入れてしまうと植物を枯らしてしまう事を農家の皆さんは経験的に知ってたようです。
その原因として木材の中には植物の根を枯らす物質が含まれていることや、土壌の肥料分を吸着し作物へ与えなくするなど作物にとってマイナスの面が多いことです。
ではなぜ木材屑を堆肥にしようと思ったのか?
それは農業をするにも戦後で肥料も満足に手に入れることができず、手に入るものといえば雨に濡れた木材屑だけだった事、そして木材の堆肥化を成功させた島本覚也が農業の素人だったことが大きな要因の一つのようです。
素人だった覚也は木材を農業利用できないという先入観を持たず、ワラ、籾殻と同じ植物繊維だという認識で堆肥づくりを始めたのがきっかけで木材の堆肥化を成功させることができました。
当時は木材屑にサツマイモのツルを刻んだものと発酵菌(現在弊社で販売しているバイムフードの元菌)を混ぜ堆積し堆肥化を行っております。
堆積後からモクモクと湯気が上がり、その発酵状態を数ヶ月間持続させその間に何回か切り返していくうちに現在の堆肥の様に茶褐色で良い堆肥に仕上がったようです。
のちに木材を60℃前後で100日ほど発酵させると植物への害となる物質が除去でき、また炭素率を調整することで肥料分を奪う事が無くなることが研究により分かりました。
そうして無害化できた堆肥を畑に投入し水菜を栽培すると化け物のような水菜を収穫することができ、また根を見てみると毛細根が多くその毛細根の周りにはびっしりと堆肥が絡みつき、その状態を見て木材屑でも堆肥になるという事を確信したようです。
そしてその噂を聞きつけた方々が全国から木材屑の堆肥化について教えて欲しいと来られたようですが、その技術について惜しげもなくお伝えしていったようです。
今では木材屑堆肥は当たり前ですが、その当たり前にすることができたのは時代背景や想い、直感、人柄など色々なものが混ざり合って出来るものだと感じます。
昭和30年代の書にも当時の想いが綴られており多くの人に役に立つことができればと願われています。
私たちもその想いを受け継ぎこれからも取り組んでいきたいと思います。
長文ですみません…
黒木