籾殻堆肥の切り返し:水分状態の調整と管理

先週仕込んだ籾殻堆肥の第1回目の切り返しを行いました。

仕込み直後のかなり早い段階から発酵熱がグンと上がり、水蒸気がモクモクと湧き上がる状態で、中心温度は80℃にも達する勢いでした。
立ち上がりの発酵熱がしっかり上がってくるというのは発酵が順調に進んでいるといえますが、このように温度が上がり過ぎてしまうと好高温性微生物だけが生存出来るという環境下になってしまい微生物の単一化や、水蒸気となって水分が失われ、水分不足によるヤケ堆肥となり堆肥としての品質を著しく損なってしまうおそれがあります。
それを防ぐために予定よりも早いタイミングでの切り返しとなりました。

籾殻は固くて堆肥化初期は水を吸いにくく、また普段私どもが堆肥材料として使用している木材プレナくずと比べると堆積後の隙間が多く、通気は保たれるものの水分を保持しにくいという特徴があります。
ですのでこれだけ熱が上がってしまうと水蒸気として上から蒸散していった分と、下から流れ出た分合わせると相当量の水分が失われ、カラカラになってしまっているのではないかと思っていましたが、切り返してみると思っていたよりも水分は残っていました。

これは炭素率調整のための窒素源として使用した、畜産農家さんから頂いている豚糞の未熟堆肥が籾殻の隙間を上手く埋めており、水分が保持しやすくなっていた事、また仕込みの際ずっと散水をしながら撹拌しとにかく水分を馴染ませたのが功を奏したようです。

籾殻を引き取って堆肥舎で野ざらしにして2週間、その間雨も雪も振りましたが、湿っていたのは表面だけで1〜2センチ下はカラカラ状態だったため、幾ら事前に水を打っても中まで浸透させるのは難しいと考え、仕込み作業中にシャワー散水をしながら撹拌し馴染ませる方法を取りました。
非常に手間の掛かる作業でしたが、材料の馴染み具合を見ると、結果やっておいて良かったと言えると思います。

思ってたより水分を保持していたとはいえ、木材プレナくずに比べて籾殻は堆積初期の吸水性や保水性が低いということに変わりは無いので、1回目の切り返し作業もシャワー散水をしながら行いました。

堆肥や発酵肥料を作るに当たって大事なのは、主役である微生物が働きやすい環境を整えてあげることで、水分も成否を分ける重要な因子となります。
水分蒸散や下からの流出が激しいと、高温によるヤケ堆肥化や、切り返した後は逆にストンと温度が落ちて戻らなくなってしまう、つまり発酵が止まってしまうということも起こります。

次回第2回目の切り返しは2週間後の予定ですが、その間も堆肥の状態を注視し、上々の堆肥に仕上げていきたいと思います。

池見