廃菌床堆肥:1週間後の発酵温度

廃菌床堆肥の製造開始から1週間後の発酵温度(78℃)です。
今回は参考のために、水分を加水せずに廃菌床に含まれる水分だけで発酵を開始しております。



製造開始より一気に発酵熱が上昇し1週間目で80℃近くまで温度が上がりました。

堆肥化する上で発酵熱も重要なポイントの一つとなりますが、弊社では製造開始時から約3ヶ月間は大体60〜70℃の温度帯で発酵をさせます。

この温度帯よりも低いと、病原菌や雑草の種子などが死滅しなかったり、また温度帯が高すぎると土づくりで重要な炭素が放出されたり、高温に強い微生物だけ生き残り単一化したりといわゆる焼け堆肥、また土壌改良効果の低い堆肥に仕上がる場合があります。

60〜70℃の温度帯で発酵を進めるには
・材料の配合割合
・製造量
・堆積の高さ
・材料の粒子
・水分(60〜70%)
などの条件を整えて上記の温度帯を維持します。

今回はあえて低水分条件で発酵をスタートしているため、水分がやや不足し熱を気化熱とし逃がせ無いため高温発酵になっています。

堆肥を掘り返してみると中まで真っ白になっており、見方によっては微生物がびっしりついて良い発酵をしているように見えますが、この状態が続くと水分不足で堆肥がパサパサし触ると繊維がボロボロになり土壌改良効果の低い堆肥に仕上がる可能性があります。

水分状態の良い堆肥はチョコレート色に変化し写真の様に空気が入る層と入りにくい層の間に半円状に放線菌のコロニーが形成されます。



また各層には様々な微生物が繁殖し、その多種多様な微生物が土壌改良効果として生物性の改善をサポートしてくれます。

堆肥づくりも、微生物を取り扱う醸造技術と同じで目に見えない微生物をどのように育てるかによって食品では味や風味の違いに表れ、農業では土や作物への変化や生育に影響します。

堆肥づくりは様々な考え方で製造方法が異なり、良し悪しの判断は難しいのですが日本古来の醸造技術をお手本にする事で質の高い堆肥に仕上がると考えています。

今回の廃菌床堆肥は水分を少し足して再発酵させる予定です。

黒木