「肥料」と「堆肥」の違い-作物だけでなく土にも栄養を-健康な土づくり

「肥料」と「堆肥」の違いについて分かりやすく例えると、肥料が植物にとってのごはんだとすれば、堆肥は土にとってのごはんだといえます。

堆肥は土壌中で微生物の作用によって腐植物質になり、土をフカフカで水はけ、水持ちが良く、肥料持ちもよく、病気も発生しにくい理想的な土壌、即ち地力の高い土壌へと変えていく働きをします。

腐植は消耗していきますので地力を維持していくためには肥料だけでなく、土にもご堆肥というごはんを継続的に食べさせてあげなくてはいけません。

とはいえ、ひとくちに堆肥と言っても材料や生産工程で、全く質の違った堆肥が出来上がります。
残念ながら中には私達の基準では到底堆肥とはいえない代物もあり、使い方を誤るとかえって害になるということも起きかねません。
ただ堆肥を使えば良いというものではなく、その堆肥の質や特徴を知って正しく使用していく事が求められます。

島本バイ厶農場で生産している堆肥は木材くずを弊社の発酵資材バイムフードに含まれる好気性発酵菌主体の微生物群によって発酵、熟成させています。
木材には腐植の元となるリグニンという物質が稲藁の3倍も多く含まれており、高い土壌改良効果を期待出来る反面、木の良い香りというのは実は植物にとっては生育を阻害する物質であり、しっかり堆肥化してその毒性を取り除かなければ逆に作物の生育障害を引き起こしてしまいます。55℃以上の発酵温度持続期間で最低3ヶ月間堆積することで木材くずの毒性は完全に除去され安全で良質な堆肥へと仕上げることが出来ます。

また、堆肥化の過程でバイムフードに含まれる微生物群がその力を遺憾なく発揮するためには酸素の供給や材料中の水分の調整、発酵ムラを均一にするための切り返し作業も欠かせません。
切り返し作業でショベルで堆肥をすくい上げたときにモウモウと立ちのぼる水蒸気を見ると、ああ、しっかり発酵しているなあという安堵と、微生物さんお疲れさまです、引き続き頑張って良い堆肥にしてくださいねという感謝の気持ちが湧き上がってきます。
腐熟が進んだ木材くず堆肥は色が濃くなりツヤも出てきます。

良質な堆肥でも、単年使用しただけでは中々土作りが出来てるなあと実感することは難しいかもしれませんが、2年、3年と続けていくうちに、ごはんをもらって元気になった土がフカフカになった、そのおかげで作物が元気に育ち病気にもかかりにくくなったなどの変化をきっと実感いただけると思います。

良質な堆肥作りをすることもそれを圃場に毎年入れることも中々骨の折れる大変な作業ですが、土作りは持続可能な農業のための基本であると考えます。
作物に肥料をあげるだけでなく、その基となる土にも栄養たっぷりの堆肥というごはんが必要だということ、肥料と堆肥の違いについてご理解を深めていただければと思います。

池見