「地力」とは 作物の生長に必要なものを
必要な分だけ供給できる“土の体力”
農作物を育てる基盤となる「土」。
まず、その機能が作物にとって適切な条件となる土づくりからスタートします。

地力とは、「作物が欲しいと思っている水・養分・酸素を、
欲しい時に欲しいだけ供給できる」
「微生物の活動が盛んで、作物に有害な病原菌の繁殖を抑え、
強健な作物を育てられる」
土の力=人間でいうと体力のようなものです。

水と養分のほとんどは根から吸収します。
そのため、土は根の育ちやすい環境であることが大切です。

島本微生物農法の3つの柱島本微生物農法の3つの柱

最も大切な「土づくり」
良質な土が
良質な作物を育む
島本微生物農法で最も大切な土づくりは、まず「堆肥」の施用からはじまります。
堆肥とは、おもに植物性の繊維を微生物により分解した土壌改良材です。土壌の理化学的条件である「通気性」・「排水性」・「保水性」・「保肥性」を改善し、土の孔隙率を作物の根の伸長に最適な比率に変えていきます。

施用された堆肥が土の中で微生物により分解される過程では、様々な養分が生成されます。それらは作物の健全生育や根の伸長を促したり、土壌の団粒化を進める上で重要な腐植を生み出します。

温醸堆肥

良質な堆肥が
豊かな微生物の生態系を育む

良質な堆肥は、土壌中に生息する有用な微生物や腐生性生物(※1)の栄養源となるアミノ酸や糖類、高級アルコールや有機酸、ミネラルなどを放出しながら土壌腐植(※2)による団粒化を行います。

それにより、土壌中の微生物の生態系(ミクロフローラ)を改善し、病原菌や害虫の生息密度を低下させることで、健全な土づくりに効果を発揮します。

島本微生物農法では良質堆肥の生産技術にこだわり、腐植(ヒューマス)の生成量の多い堆肥の生産を研究・実現してきました。それが、好気性発酵堆肥、すなわち「温醸堆肥」です。

土こうじ

島本微生物農法の土づくりを
長年担ってきた土づくり資材

島本微生物農法の創始の頃より研究使用してきた土づくり資材「土こうじ」も大きな役割を持っています。

土こうじには、好気性の酵母菌や糸状菌、放線菌等の有用な腐生性菌が山土の孔隙の中で安定したコロニーを形成しています。その数は、土こうじ1グラム中に数億から数十億も存在します。

土壌微生物の生態系を良好にし、病原菌の活動を抑止するほか、含有する微生物群が分泌する酵素作用で、農地のく溶性りん酸やカリ、苦土、石灰などのミネラルを可溶化し、未利用養分の可給化や土壌の理化学的条件の改善など、総合的な効果があります。

有機質発酵肥料による
生育健全化
島本微生物農法では有機質材料を発酵させた有機質発酵肥料を用います。

有機質材料そのままでも肥料として使用できますが、土の中で腐敗してしまうと酸欠や有害ガスにより作物がダメージを受けてしまいます。そこで、お酒やお味噌を発酵させてつくる「醸造発酵」と同じように、事前に発酵処理を施すことで「加水分解」(※1)を行い、弊害を取り除いてから使用します。
  • ※1 水を加えることで反応し、分解生成物が得られる反応のこと。

有機質発酵肥料

発酵処理により肥効を高め
土壌微生物を豊かに、根を育む

有機質肥料中のタンパク質は発酵処理による加水分解作用で種々のアミノ酸に分解されます。植物の根はアミノ酸をそのままの形で吸収、利用することができます。アミノ酸の一種である「プロリン」は植物の光合成機能を高め、含糖量を向上させます。日照に恵まれた年に豊作になるのは、光合成が盛んになり植物体内の含糖量が上がり、それを基にしてたくさんの実を成らせるからです。含糖量が高ければ果実の糖度も上がり、またアミノ酸自体が旨味となるため、食味も向上します。日照不足の年でもアミノ酸を豊富に含む発酵肥料を与えていると収量および品質の低下を最小限にとどめることが可能です。

発酵肥料は土壌中の有用微生物のエサとなり、その活動を活性化させ、作物が吸収しにくい固着化したリン酸やマグネシウム、微量要素を吸収しやすい形に分解可溶化します。また、有用微生物が増殖し核酸やビタミンB群、UGF(成長促進未知因子)、各種植物ホルモンなどを多量に生み出します。

このように有機質発酵肥料を施用すると土壌中の有用微生物が増殖し、安定した生態系が保たれることで病害微生物の異常繁殖を抑制します。有用微生物が土壌環境を良好にし、それらが産生する発酵生成物が作物の生育、根の伸長を促し、病気や害虫に侵されにくい強健な作物づくりに貢献します。

リン酸発酵肥料

植物の生長に重要な成分

リン酸は植物が生長するために重要な成分で、「育苗期でのリン酸吸収量がその作物の収穫量を決定する」とさえ言われます。

しかし日本の土壌は、リン酸の天然供給量が少なく、また火山灰由来土壌や酸性に傾いた圃場では、リン酸を施肥しても肥効が出にくい性質です。

そのリン酸の肥効を高めるために、有機質「リン酸発酵肥料」です。このリン酸発酵肥料は骨粉やヨウリンなどの有機態・鉱物質のリン酸肥料を発酵処理することにより肥効が緩慢なリン酸肥料の分解を進め、かつ、土壌粒子との吸着・固結を防いで理想的な肥効となります。

根の発育促進、光合成促進による含糖率向上、生長促進、また生殖機能の向上や着花受精率向上、着果率向上、さらに稔実や着色の向上など、その効果は多岐にわたります。

また、有用微生物にとっても大切な養分となり、土壌の加水分解機能の向上にも繋がります。

酵素発酵液肥 
天恵緑肥

植物の生長に重要な成分

天恵緑肥は、青草などの新鮮な葉をバイムフードで発酵させた発酵液です。発酵の過程でさまざまな発酵生成物が生成されますが、中でも植物ホルモンであるオーキシンの効果が顕著で、植物細胞の肥大、新根の発生、根の伸長を促進します。また、天恵緑肥を含んだ水は土への浸透性が高まり、根の細胞への浸透力も高まるので吸水量が増え、肥料養分の吸収率を高めます。酵母菌や乳酸菌が生み出した有機酸が土壌中の未利用養分を溶解可給化したり、土壌微生物のエサとなり繁殖を促したりすることで土づくりにも貢献します。

連用することで土壌の団粒化、未利用の肥料成分の分解可給化、有用微生物の繁殖促進など土壌環境を改善します。天恵緑肥は植物のリサイクルから生まれたまさに天の恵みのような酵素液肥です。

植物の生長に必要な
養分を補う葉面散布
島本微生物研究所で発見され、研究開発されてきた「糖の葉面散布技術」は他に類を見ない微生物農法独自の技術です。

砂糖(ショ糖)を有用微生物で発酵処理するとブドウ糖と果糖に分解されます。この微生物の発酵作用により出来上がったブドウ糖を含む発酵液を植物の葉に散布することで、葉から直接ブドウ糖を補給することができます。また、発酵により生成される核酸やアミノ酸、植物ホルモン等の発酵生成物が植物の生理機能を整えます。

糖と発酵生成物

自然の恵みを
葉面散布で補う

ブドウ糖や各種発酵生成物は葉面散布することで速やかに植物の細胞組織へ浸透し、植物に負担をかけることなく、必要な養分を補給することができます。

微生物農法における葉面散布は微生物の発酵作用により分解生成した、植物の細胞組織への浸透性の高い活性ブドウ糖を含む発酵液を使用します。

糖類の他にも発酵作用により生成される核酸、アミノ酸、有機酸、高級アルコール、ビタミン類、酵素群、植物ホルモン、植物生長未知因子などが含まれています。

無農薬栽培を
可能に

病気に負けない
健全な作物づくり

微生物農法の葉面散布液に含まれる成分は、作物の生理作用を整え、光合成で生産されるブドウ糖の人為的な補給を行い、光合成の促進や生殖機能・稔実性の向上や、新根の発育促進などに効果を発揮します。

また、日照不足や窒素過剰により軟弱に育った作物を健全化し、耐病性を高めることから、農薬に頼らずに作物の健康回復・維持を可能にします。

このことから、「黒砂糖農薬」という異名で呼ばれ、無農薬農法の可能性を現実的なものにしています。

太陽熱と発酵熱
自然の力で
土壌をクリーンに
島本微生物農法の3つの柱に加え、新たに研究・実践してきた、太陽熱と発酵熱で土壌をクリーンにする技術として「ソイルクリーン」があります。

同じ作物を連続して栽培する連作では、土を非常に酷使し、微生物にとっても生態系の偏りを生じさせてしまいます。ここで避けられないのが、連作障害です。微生物農法のソイルクリーンは、化学薬剤による完全消毒とは全く異なり、太陽熱と微生物の発酵熱の力で、熱に弱い病原微生物を選択的に駆除することが可能です。

大切なものは
そのままに

有用微生物が築き上げた
良質な土壌環境を生かす

一般的な土壌消毒では、化学薬剤を使用した土壌の完全消毒が行われ、有害な病原菌だけでなく、有用な微生物も皆殺しにしてしまいます。

島本微生物農法では、従来から行われてきた太陽熱土壌消毒法に、有用微生物の発酵熱と天敵作用により熱に弱い有害微生物のみを駆除する技術を確立しました。

そのため、処理後の微生物の生態系の乱れがなく、むしろ有用菌が大量に繁殖することで有害微生物の密度を持続的に下げ、土壌の生化学性を改善し、連作障害を防ぐ効果を発揮します。

未来へ続く農業

土壌汚染や食糧難の時代
自然の理にかなった農業を

従来の太陽熱消毒法は圃場を湛水状態にする必要があり、処理期間も晴天日で1ヵ月を要します。さらに太陽熱は地面のごく表層しか温度を上げることができず、深層に潜む病原菌・病害虫を駆除することが困難とされています。

ソイルクリーンによる土壌処理では微生物の発酵熱を利用することで太陽熱のみでは駆除できなかった深層まで処理が可能です。湛水も不要で処理期間も晴天日で2週間と短く、処理後のガス抜きも不要なため、すぐに作付けが可能です。

土づくりから作物の栽培、栽培後の後処理まで一貫して自然に逆らわない農法にこだわってきた島本微生物農法。様々な問題を抱えた現代社会において、人々の健康と持続可能な未来を担う農業として、これからも研究と実践、普及に努めていきます。